2009年 01月 29日
東京版:井戸のある風景100選 -------------------------------------------------------------------------------- 009_文京区根津1丁目の井戸ポンプ -------------------------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------- サイタ質店が創業したのは明治 40年(1907)というからかれこれ100年以上がたっています。 関東大震災や東京大空襲のなか奇跡的に難を逃れ、現在も現役で使用されています。 -------------------------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------- 杉板の板塀、石畳ブリキのバケツ等等、 まさに井戸ポンプのためにコーディネートされたかのようなステキな空間。 ココは、上野台地と本郷台地の谷間に位置し、かつては藍染川が流れていた地域。 この一帯は古い民家が多く坂を上ると、 街角フォトグラファーには有名な「ミカドパン店」「ヒマラヤ杉」がある。 あえて示さないがここから、谷中、池之端にかけて井戸も多く残っており、散策がてら井戸探しをする格好の場所と言えます。 -------------------------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------- ※藍染川(上の写真は藍染川を暗渠としている”へび道”) 地元の人間以外車で踏み込むのは止めたほうが良い。私も何度か縁石に乗り上げた経験がある。 右上の写真(google earth) の中央をクネクネと蛇行しているのがへび道である。 -------------------------------------------------------------------------------- 過去を調べていくと、 東京の環境、特に水に関する環境が劇的に変化してきた様子が分かります。 美しき頃の藍染川は、夏目漱石の『三四郎』(明治41年執筆開始)に登場するのでここで紹介しましょう。 -以下引用- 谷中と千駄木が谷で出会うと、いちばん低い所に小川が流れている。この小川を沿うて、町を左へ切れるとすぐ野に出る。川はまっすぐに北へ通っている。三四郎は東京へ来てから何べんもこの小川の向こう側を歩いて、何べんこっち側を歩いたかよく覚えている。美禰子の立っている所は、この小川が、ちょうど谷中の町を横切って根津へ抜ける石橋のそばである。 -中略- 一丁ばかり来た。また橋がある。一尺に足らない古板を造作なく渡した上を、三四郎は大またに歩いた。 -中略- 二人の足の下には小さな川が流れている。秋になって水が落ちたから浅い。角の出た石の上に鶺鴒(せきれい)が一羽とまったくらいである。三四郎は水の中をながめていた。水が次第に濁ってくる。見ると川上で百姓が大根を洗っていた。美禰子の視線は遠くの向こうにある。向こうは広い畑で、畑の先が森で森の上が空になる。空の色がだんだん変ってくる。 どうでしょう?藍染川の風景が思い描けましたか?実に情緒のあふれる風景ですね。 今は面影はありませんが、へび道に立ち目を閉じて想像の翼を広げると、明治よりもっと前の時代の光景を思い描けます。 ”板橋に立ちあたりを見回せば田畑が広がり転々と、 川は魚を遊ばせながらさらさら流れ、春には鶯が鳴き、夏の夜には蛍が舞う、 秋には、東の上野の山、西の本郷台地の森が紅葉で燃え、 冬にはしんしんと降る雪が藍染川をましろに染めてゆく・・・” 現在では住宅が密集していて分かりにくいのですが、藍染川が流れるこの一帯は約100m程度の幅で広がる平地であり、まさに”谷中”の地名にふさわしいと思います。 しかしながら、三四郎のこの場面の後次第にドブ化してゆき、大正12年には関東大震災を契機に暗渠化しているので、わずか16年の間にホタルが飛び交う清流は失われた事になります。 そのスピードは三四郎から遅れること3年で開始された森鷗外の『雁』に見ることができます。 -以下引用- 岡田の日々の散歩は大抵道筋が極まっていた。寂しい無縁坂を降りて、藍染川(あいそめがわ)のお歯黒のような水の流れ込む不忍の池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。それから松源(まつげん)や雁鍋(がんなべ)のある広小路、狭い賑やかな仲町(なかちょう)を通って、湯島天神の社内に這入って、陰気な臭橘寺(からたちでら)の角を曲がって帰る。しかし仲町を右に折れて、無縁坂から帰ることもある。 ”お歯黒のような水”とありますが、三四郎の執筆から雁までは3年しかたっていませんが 三四郎と美禰子が夕日を眺めた藍染川は”お歯黒のような水”と描写されています。 この”お歯黒のような水”も次第に悪臭を放つドブとなり、 臭いものにはフタとやらで、暗渠とする。 なんて勝手なんでしょう。。。。 最近は、川の流れを復活させるプロジェクトや、水質浄化プロジェクト等、自然の水環境を見直し、守る運動が盛んになってきていますが、 失うのは易し、得るのは難し まずは私達自身が、身近な水環境を守っていく必要があると思います。 ということで、井戸ポンプは大切にしましょうね! 東京版:井戸のある風景100選 #
by 23dt
| 2009-01-29 00:28
| 井戸のある風景100選
2009年 01月 12日
現在ご協力を頂き6件まできました! 引き続き応募を続けていますのでよろしくお願いいたします! 東京版:井戸のある風景100選 001:台東区谷中1丁目 002:豊島区南池袋4丁目 003:新宿区内藤町 004:葛飾区東新小岩1丁目 005_中央区佃島 013_港区元麻布柳の井戸 #
by 23dt
| 2009-01-12 23:33
| 井戸のある風景100選
2009年 01月 10日
月島にも井戸ポンプがありました。 これはビックリです。 月島は完全な人工島なので、「井戸はないだろうなぁ」と思っていたのですが・・・! 先入観はできるだけ排除していかないと、井戸ポンプを見落としてしまいますね^^; #
by 23dt
| 2009-01-10 15:29
| 中央区の井戸
2009年 01月 02日
2009年 01月 02日
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